「酒は百薬の長」か?アルコールの健康影響について

アルコール

 「酒は百薬の長」という言葉があるように、アルコールは適度に飲めばむしろ健康によい、という印象があります。実際はどうなのでしょうか?

 

 もともと適度な飲酒は、HDL-コレステロールをふやしたり、血小板凝集を抑えるなどの働きにより、虚血性心疾患のリスクを下げると考えられています。一方、がんに対しては、アルコールが、局所において発がん物質の細胞内への浸透を促進する、あるいは、生体内で代謝されて発がん性を有するアセトアルデヒドを産生するなどにより、がんのリスクを上げるものと考えられおり、口腔・咽頭・食道がんや肝臓がんの確実なリスク要因となっているといわれていました。

総死亡と飲酒の相対リスク

 上のグラフは、国立がん研究センターがおこなった調査の結果です。アルコールを飲まない人の死亡リスクを 1 とした場合の、相対リスクを表しています。

 この結果によると、2日1合程度の飲酒者が最も死亡率が低く、1日当たりアルコール量が増加するに従い死亡率が上昇することがデータとして示されています。それを見る限り多少のアルコールの摂取はむしろ体に良さそうといえます。このグラフは総死亡率ですが、がん全体の死亡率でも同様の傾向がみられます。

 日本酒1合(180ml)は純アルコール量にすると、およそ22g です。2日で1合となると、1日10g程度が最もリスクが低くなっているようです。

主なアルコールの換算の目安

主なお酒のアルコール量
お酒の種類 ビール
(中瓶1本500ml)
清酒
(1合180ml)
ウイスキー・ブランデー
(ダブル60ml)
焼酎(35度)
(1合180ml)
ワイン
(1杯120ml)
アルコール度数 5% 15% 43% 35% 12%
純アルコール量 20g 22g 20g 50g 12g

適量は人によって異なる

 少々のお酒はむしろからだに良さそうではあるものの、この量は誰にでも当てはまることではなく、一般的に以下の場合には注意が必要といわれています。

1) 女性は男性よりも少ない量が適当である
2) 少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では通常の代謝能を有する人よりも少ない量が適当である
3) 65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である
4) アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である
5) 飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない
※厚生労働省「健康日本21(アルコール)」資料より

 普段飲まない人が、無理して飲むとむしろ体調を崩す可能性もありますので、飲む習慣がないのなら飲む必要はありません。普段飲む人であれば、1日に飲む量を少し調整してみる目安とするのがよいでしょう。


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