機能性ディスペプシアとは?

 胃もたれや胃の痛みがあって、内視鏡で検査をおこなってはみたものの、胃には異常が認められないことはよくあることです。このような胃の症状が長期間にわたっている場合に、この状態を「機能性ディスペプシア」あるいは「機能性胃腸症」と呼んでいます。

 今までは、症状はあるが内視鏡で確認可能な病変(炎症や潰瘍、癌など)がない場合、「慢性胃炎」や「神経性胃炎」と診断されていました。しかし本来「胃炎」とは、胃の粘膜に炎症が起きている状態を表す言葉です。「胃炎」がないにも関わらず、「胃炎」というのも正しくはありません。そこで、症状があってもそれを説明できる異常がさまざまな検査でも認められない場合、胃に炎症があるなしにかかわらず「機能性ディスペプシア」と呼ばれるようになりました。

機能性ディスペプシアの症状

 代表的な症状は、

・「食事開始後、すぐにお腹がいっぱいになる感じがする」
・「食後、いつまでも胃がもたれた感じがする」「みぞおちの辺りが痛い」
・「胃が焼けるような感じがする」

などです。

 医療機関を受診し、検査を受けて”異常なし”と言われても、このうち1つでも当てはまり、症状が週に1~2回以上慢性的に続く場合は、機能性ディスペプシアである可能性が高いと考えられます。

機能性ディスペプシアの原因

 胃に炎症がないのに症状が現れるのは、胃の働き(機能)に異常が生じているためです。異常が生じている箇所は様々ですが、主に以下の原因があります。

■胃の運動機能障害

 胃の「貯留機能」に障害がある場合、食べ物が食道から胃へ入ってきても胃の上部がうまく広がらず、入ってきた食べ物を胃の中にとどめることができなくなってしまうため、食べた直後からお腹いっぱいな感じになったり、胃の痛みを感じたりします。
 また、胃の中にある食べ物を、十二指腸へ送る「排出機能」に問題がある場合は、胃の中に食べ物が長くとどまってしまうため、胃もたれなどが引き起こされます。また、胃から十二指腸への排出が速くなってしまうことで、痛みなどの不快感が引き起こされる場合もあります。

■胃の知覚過敏

 「知覚過敏」とは胃が刺激に対して痛みを感じやすくなっている状態を指します。正常であれば何も感じない程度の刺激であっても、「知覚過敏」の状態では、少量の食べ物が胃に入るだけで胃の内圧が上昇し、少量の食べ物でお腹がいっぱいになったり、胃酸に対して過剰に痛みや灼熱感などを感じることがあります。

■ストレス

生活上のストレスなどの心理的要因と機能性ディスペプシアは関係があると言われています。

機能性ディスペプシアの治療

 機能性ディスペプシアは、生活習慣を改めることによって症状が良くなることは少なくありません。そのため、機能性ディスペプシアに影響するような生活習慣はできるだけ避けるような指導が基本的な治療法になります。

■機能性ディスペプシアに好ましくない生活習慣

・過食
・早食い
・不規則な生活
・喫煙
・過度のアルコール
・過労
・睡眠不足
・ストレス

消化管運動機能改善薬
 胃もたれや早期飽満感がある場合には、消化管のはたらきを活発にする消化管運動機能改善薬を使って治療します。薬にはドパミンD2受容体拮抗薬やセロトニン5-HT4受容体作動薬、漢方薬など、いろいろな種類があります。

酸分泌抑制薬
 十二指腸に胃酸が流れ込むことによって胃の運動機能が低下し、さまざまな機能性ディスペプシアの症状が引き起こされることが知られています。また、胃が知覚過敏の状態では、正常な胃酸分泌であってもみぞおちの焼けるような感じや痛みを感じることがあります。酸分泌抑制薬は、胃酸の分泌を抑え、みぞおちの焼けるような感じや痛みを改善させます。

抗うつ薬、抗不安薬
 消化管運動機能改善薬や酸分泌抑制薬でも症状が良くならない場合は、抗うつ薬や抗不安薬が使われることがあります。


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