「メタボ」の次の「ロコモ」とは?

 厚生労働省が進めていた国民の健康づくり運動「健康日本21」は、2013年2月で「第1次計画」期間が終了し、2013年3月から次の10年間を対象にした「第2次計画」がスタートします。その「健康日本21」の「第1次計画」で目指していた目標のひとつが「メタボリックシンドローム」の認知度向上でした。
 その思惑通り、「メタボ」という言葉の認知度は高くなり、現在9割程度まで上昇しています。そして政府がこれから広めようとしているのが「ロコモ」です。

ロコモとは?

 「ロコモ」とは、ロコモティブ(Locomotive)シンドローム」(運動器症候群)の略です。ロコモティブ シンドロームとは主に加齢に伴う「運動器の障害」により「要介護になる」リスクの高い状態を指す言葉です。「運動器の障害」は大きくわけて、「運動器自体の疾患」と「加齢による運動機能の低下」の2つになります。

 「運動器自体の疾患」は加齢に伴う様々な運動器疾患で、「骨粗鬆(こつそしょう)症」「変形性関節炎」「脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症」などが代表的な疾患とされています。
 

階段 また、「加齢による運動器不全」は加齢により身体機能が衰え、筋力低下、持久力低下、反応時間延長、運動速度の低下、バランス能力低下などに加えて、筋力そのものの低下やバランス能力の低下などが重なると「運動機能の低下」が起こり、容易に転倒しやすくなるなどします。
 最近、「筋肉が減ってきた」「転びやすくなった」などの心当たりがある人は、もう「ロコモ」に注意の段階になっているといえるでしょう。

 ロコモは、「筋肉」「骨」「関節」それぞれの働きが加齢によって低下することから始まります。逆に言えば、ロコモの入口である「筋肉の衰え」「骨強度の低下」「軟骨の摩耗」を食い止めれば、ロコモは予防できることになります。

ロコモチェック

 現在、ロコモは予備群を含めると約4700万人といわれ、40歳以上の男女の5人に4人が“ロコモ及び予備群”と推定されています。
 自分がロコモかどうかを調べるには、「ロコモ チャレンジ! 推進協議会」のウェブサイトの「ロコチェック」というコーナーに「自己チェック項目」がありチェックすることができます。

「ロコモ チャレンジ! 推進協議会」 ロコチェック

 「ロコモチェック」でまだまだ大丈夫と思った人も油断は禁物です。なぜなら、「ロコモ」は急になるわけではなく、普段の生活の積み重ねから次第に進行してゆき、気が付いたら「ロコモ」になっていたというケースも多いからです。

ロコモを予防するには?

ロコモを予防するには、老化による「筋肉の衰え」「骨強度の低下」「軟骨の摩耗」を食い止める必要があります。

■筋力の衰えを防ぐ

 筋力は何もしないと加齢とともに確実に減少します。しかし、運動など普段の生活習慣による個人差が大きいのも筋力で、運動している人としていない人で、80歳ではその差が約3倍にもなるといわれています。
 筋肉の衰えを改善するには、運動するしかありません。しかし、現在働いてる人だとなかなか運動している時間はとれないという人が多いと思いますが、エレベーターを使わず階段を使う、少し早足で歩いてみる、という日常生活のちょっとした運動でも効果があります。
 一度衰えた筋肉を復活させるには歳をとれば取るほど難しくなってきますので、今から筋力の低下を意識的に防ぐ行動が重要になってきます。

 また、食事も重要で筋肉を維持するのはタンパク質は不可欠です。良質なタンパク質と適度な運動が筋力を衰えを防ぐ方法になります。

■骨強度の低下を防ぐ

 骨は「骨粗鬆症」に注意する必要があります。特に女性は40代後半から骨にカルシウムを吸着させる働きがある女性ホルモンが急激に減少するため、閉経後は骨のカルシウム吸収力が低下し、骨粗鬆症になりやすいといわれています。
 骨の強度アップもまた食事がポイントになります。骨の強度を高めるカルシウムはもちろん、カルシウムを骨に結びつけるコラーゲンもしっかり摂取する必要があります。また、筋肉だけでなく骨を作るためにも、良質のたんぱく質を摂ることが必要となってきます。

■軟骨の摩耗を防ぐ

 筋肉や骨と比べて難しいのが、一度減ってしまうと増やすことができない「軟骨」です。軟骨をなるべく減らさないようにするには、軟骨に栄養を送るようにすることです。軟骨は関節の中にある水分が動いたときの重力によって軟骨に浸透し、栄養分が染み込むといわれています。つまり軟骨を動かし続けることで栄養分を補給し摩耗を食い止めることができるということです。
 「グルコサミン」などのサプリメントを飲んだだけでは、軟骨まで栄養が届かないので、サプリメントを飲んでいたとしても、動かし続けつことが重要になってきます。そしてもうひとつは、筋肉をつけることで関節に加わる衝撃を調節し、痛みを和らげることができます。

 つまり関節を動かし続けて負荷をかけ栄養を補給すること、適度な運動で筋肉をつけることで摩耗が防げるということになります。膝などが痛いからといって動かずにいると少しの動きでも痛みを感じるようになってしまうので、できる範囲でストレッチなどを行ったほうがいいといわれています。ただし痛みが続く場合は、無理に運動を続けずに医師に相談するようにしましょう。

なぜ「ロコモ」が話題になっているのか?

「メタボ」の次は「ロコモ」と政府が広めようとしているには理由があります。それは、近年ロコモ対象者が急増しているからです。なぜ急増しているのかといえば、単純に平均寿命が延び、高齢の方が多くなってきたということです。人間の体は歳をとると当たり前ですが、体の運動器は衰えてきます。かつて、平均寿命が今より短かった頃は運動器の衰えと共に寿命がきて「ロコモ」状態になる人は、今よりは多くありませんでした。
 しかし、寿命が延びている現在、運動器の衰えが寿命よりだいぶ前にくることで、体が動かない状態になる可能性が増えているということです。寿命があるのに、体が動かない状態は誰でも避けたいと思うでしょう。それを避けるには、やはり今から日常生活に気をつけ、衰えの進行を食い止める必要があります。
 ただ、これからさらに平均寿命が延びるだろうことを考えると、今まで一般的に考えられていた気をつけ方では、少し間に合わないかもしれません。長生きするだろうことを考えて、3、40代からロコモを意識して運動や食に気をつける必要が出てきてるのではないでしょうか。


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